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福岡地方裁判所 昭和56年(わ)235号 判決

本籍

佐賀市唐人一丁目一五一番地の六

住居

福岡県北九州市小倉北区高坊二丁目八番三二号

自動車学校経営

野中武次

大正二年九月一五日生

本籍

佐賀市唐人一丁目四七番地

住居

福岡県北九州市小倉北区熊谷三丁目一八番二二号

無職

野中一裕

昭和五年七月三〇日生

所得税法違反被告事件

検察官有賀政達出席

主文

被告人野中武次を懲役一年六月および罰金一、八〇〇万円に、

被告人野中一裕を懲役一年に処する。

被告人野中武次においてその罰金を完納することができないときは、金六万円を一日に換算した期間、同被告人を労役場に留置する。

被告人両名に対し、この裁判確定の日から三年間、それぞれその懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人野中一裕の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人野中武次は福岡県北九州市小倉北区霧ケ丘一丁目一五番一号において城野自動車学校を経営しているもの、被告人野中一裕は被告人野中武次の甥であって右自動車学校の経理事務等を担当していたものであるが、被告人両名は、被告人野中武次の所得税を免れることを共謀のうえ、右自動車学校における補習料収入の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五二年分の実際総所得金額が六二、三六〇、一一九円あったのにかかわらず、昭和五三年三月一五日、北九州市小倉北区萩崎町一番一〇号所在の所轄小倉税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が二二、七一五、七一二円でこれに対する所得税額が八、一六九、四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額三二、六七四、六〇〇円と右申告額との差額二四、五〇五、二〇〇円を免れ

第二  昭和五三年分の実際総所得金額が七二、二一二、五五九円あったのにかかわらず、昭和五四年三月一五日、前記小倉税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が一八、九七五、四〇六円でこれに対する所得税額が六、〇七九、三〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額三九、三八五、〇〇〇円と右申告税額との差額三三、三〇五、七〇〇円を免れ

第三  昭和五四年分の実際総所得金額が九四、八〇二、六二五円あったのにかかわらず、昭和五五年三月一四日、前記小倉税務署において、同税務署長に対し、同年分の総所得金額が二九、五六二、七八二円でこれに対する所得税額が一一、七一八、八〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同年分の正規の所得税額五五、七七五、四〇〇円と右申告額との差額四四、〇五六、六〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人両名の当公判廷における各供述

一、被告人両名の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、被告人両名の検察官に対する各供述調書

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書三通

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料三通

一、大蔵事務官作成の調査書一五通(検8.9.11.14.ないし25.号)

一、原口光子作成の上申書二通(検10.12.号)

一、原口光子の大蔵事務官に対する質問てん末書、検察官に対する供述調書

一、福田サトの検察官に対する供述調書

一、力武忠裕、丸田正博、植田義隆の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、所得税の確定申告書綴三册(昭和五六年押第一二六号の一、二、三)

(法令の適用)

判示各所為

刑法六〇条、所得税法二三八条一項、二項(被告人野中武次については懲役刑と罰金刑を併科、被告人野中一裕については懲役刑選択)。

併合罪の処理

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(懲役刑につき第三の罪の刑に法定加重)。

被告人野中武次については、更に刑法四八条一項、二項を適用して各罪所定の罰金額を合算。

労役場留置(被告人野中武次)

刑法一八条。

刑の執行猶予

刑法二五条一項。

訴訟費用の負担(被告人野中一裕)

刑訴法一八一条一項本文(国選弁護人高良一男に支給したものにつき)。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 西江幸和)

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